新モデル続々登場、タブレット端末はどこへ向かう?(二)
2011年8月18日(2011年08月18日)
タブレット端末はWeb端末が基本:
では、電子書籍以外に、何がタブレット端末の利用目的なのかというと、Android採用端末で言えば、もっともわかりやすいのは昨年発売されたGALAXY Tabのユーザー像だ。昨年末の段階で、NTTドコモの android タブレット 7インチ のラインアップには同じサムスンが販売するGALAXY Sがあり、たいへん好調な売れ行きを記録していた。しかし、フィーチャーフォンのメイン端末の置き換えではなく、2台目として、スマートフォンを持つことを考えた場合、より大きな画面のスマートフォンが欲しくなる。そこにうまくはまったのがGALAXY Tabだったわけだ。GALAXY Sよりは大きいが、画面サイズが7インチと大きいため、文字やグラフィックが見やすく、タッチ操作をミスすることも少ない。しかも同じ android スマートフォン
を採用しているため、アプリも基本的には同じように利用できる。
また、少しさかのぼれば、iPadも電子書籍向けというより、iPhoneと同様のアプリが利用できるWeb端末として、支持されてきた印象が強い。実際に、筆者はいつでもインターネットが利用できるように、リビングにネットブックを置いていたが、iPadの登場以降、ネットブックはまったく使わなくなり、リビング端末の主役はiPad、今年に入ってはiPad 2へと置き換わってしまった。何か知りたいと思ったとき、すぐに起動して、すぐに検索ができる手軽さは、とてもネットブックでは実現できなかった。
しかし、最近はiPad 2と組み合わせる形で、Android 3.0(現在は3.1へバージョンアップ)を搭載したMotorola XOOMを利用している。もちろん、仕事として、触っておきたいというのもあるが、iPad 2はFlashを使ったWebページなどが見られないため、そういったシチュエーションではXOOMが役立っている。Webページ閲覧時の軽快さはまだまだiPad 2の方が優れているが、Flashへの対応をはじめ、Android 3.xの環境だからこそ、使いやすい用途もあるため、今のところは併用が続いている。
もちろん、タブレット端末の用途として、Web端末がすべてだとは言わないが、やはり、Webページを快適に見られることが基本であり、そこにどういう付加価値があるのかがユーザーとしては大事になってくる。プラットフォームのバージョンは異なるが、シャープのメディアタブレット「GALAPAGOS」は、『Linuxベース』と謳っていたプラットフォームを8月11日に公開したバージョンアップにより、Android 2.3に置き換えている。明確にアナウンスされていないが、メディアタブレット「GALAPAGOS」は元々、Androidを採用しながら、専用端末として開発されたため、「Androidタブレット端末」と謳うことができずにいた。しかし、ユーザーの利用シーンを見ると、定期購読サービスで配信される新聞や雑誌などのコンテンツを読んだ次のアクションとして、Webページでニュースサイトなどを読みたいというのが自然な流れになる。そこで、無理に専用端末にこだわるのではなく、Androidタブレット端末として使えるようにして、その上で「TSUTAYA GALAPAGOS」というサービスを利用できるようにしたという考えのようだ。そして、その考えに基づき、新たに開発されたのがイー・モバイルで提供されるタブレット端末「GALAPAGOS(A01SH)」というわけだ。
タブレット端末を持ってもらうための工夫:
各社から発表されたタブレット端末については、もうひとつ特徴的なことがある。それは今のところ、3G搭載モデルよりもWi-Fiモデルが中心であるということだ。
GALAXY TabやOptimus Padなど、これまでに登場したタブレット端末の多くは、各携帯電話事業者との回線契約を伴う3G搭載モデルが中心だった。iPadも初代モデルは3G搭載モデルが売れ、Wi-Fiモデルの方が先に在庫が潤沢になるという状況だった。
確かに、いつでもどこでも使いたい、Webも見たい、電子書籍も購入したいなど、用途を拡大して考えると、3G搭載モデルが有効であることは間違いない。しかし、自宅やオフィスで利用するWeb閲覧などが主な用途であり、外出時にはときどき、持っていく程度ということを考えると、月々の利用料金の面で負担のある3G搭載モデルは、あまり有効とは言えない。筆者自身も当初、iPadは3G搭載モデルを購入したが、前述のように『リビングWeb端末』が主な用途になったため、Wi-Fiモデルに買い替え、iPad 2では最初からWi-Fiモデルを購入している。また、iPad 2発売日に家電量販店やアップルストアなどに出向いたところ、アップルストア銀座の行列は圧倒的にWi-Fiモデルが多く、3G搭載モデルは数人しか待っている人がいなかった。店舗によって、多少の違いはあるだろうが、現状では、やはり、月々の負担がないWi-Fiモデルの方が人気を得つつあり、今回の各社のタブレット端末の新製品は、そういった状況を踏まえたものという見方もできる。
こうした状況に対し、各携帯電話事業者も手をこまねいているわけではない。NTTドコモは6月から2台目以降にタブレット端末を購入したユーザーに対し、月々サポートの割引額を最大24カ月にわたって拡大する「月々サポートセット割」を提供している。たとえば、GALAXY Tabで新規契約をする場合、元々、月々サポートの金額が月額1722円に設定されているが、2台目として、GALAXY Tabを購入すると、さらに月額420円の月々サポートセット割の金額が加えられるため、24ヶ月間、使い続けると、5万円以上の割引が受けられる計算になり、端末そのものの実質負担額は0円~数千円程度に抑えることができる。同様のサービスはOptimus Padでも受けられ、こちらは月々サポートの額が2100円、月々サポートセット割の額が1050円に設定されているため、24カ月で7万5600円もの割引が受けられる。また、発売から時間が経ったことも関係するが、auではHTC EVO WiMAX ISW11HTの新規契約などに対し、Motorola XOOM Wi-Fi TBi11MやSAMSUNG SMT-i9100を格安で販売するケースも見受けられる。いずれも何とかして、ユーザーに月々の負担を感じさせないように、タブレット端末を売るべく、工夫をしているわけだ。
これに対し、自社の強みを活かした製品を投入してきたのが前述のイー・モバイルだ。シャープ製タブレット端末「GALAPAGOS(A01SH)」はWi-Fiモデルのみがラインアップされているが、イー・モバイルが強いモバイルWi-Fiルーターなどと組み合わせ、100円パソコンなどでおなじみのセット販売にすることで、活路を見いだそうとしている。シャープとしても回線契約を伴わないため、自社で単独販売をしたときの値崩れなどを心配する必要がない。
さらに、モバイルWi-Fiルーターについては、UQコミュニケーションズのWiMAX対応ルーター、NTTドコモのXi対応製品、auのWi-Fi Walker、ソフトバンクのULTRA SPEED対応Wi-Fiルーターなど、各社ともラインアップが充実してきており、通信事業者とは関わりのないメーカーのタブレット端末なども100円パソコンのときと同じように、組み合わせて販売しやすい状況が整っている。これに加え、スマートフォンでは通信事業者が限られるものの、NTTドコモが一部の機種でテザリングに対応し、auもHTC EVO WiMAX ISW11HTに続き、WiMAX対応スマートフォンのラインアップを拡充し、テザリング対応機種を増やそうという構えだ。10万スポットを目指すと謳うau Wi-Fi SPOTなど、公衆無線LANサービスも今まで以上に環境が整いつつある。
こうした状況を鑑みると、地域やユーザー層によって、若干の差があるものの、今後はWi-Fiのみに対応したタブレット端末も利用しやすくなりそうだ。3G搭載モデルについてはリモート制御などの機能が利用しやすいため、法人向けに重宝されそうだが、コンシューマー向けには2回線目のパケット定額料を半額にするなど、2台目として持ちやすくなるようなアグレッシブな施策を打ち出さない限り、ユーザーはWi-Fi搭載モデルに傾いていくことになるだろう。
タブレット端末については今夏に発表されたモデル以外に、秋冬以降に新モデルが各社から投入されることが明らかになっており、ますますラインアップが増えることになりそうだ。ただ、前述のように、現時点ではタブレット端末にWeb端末+α以上の使い道が見えてきたとは言いにくい状況であり、今まで以上に各事業者やメーカー、コンテンツプロバイダ、サービスプロバイダなどの知恵と工夫が求められることになりそうだ。
タブレット端末はWeb端末が基本:
では、電子書籍以外に、何がタブレット端末の利用目的なのかというと、Android採用端末で言えば、もっともわかりやすいのは昨年発売されたGALAXY Tabのユーザー像だ。昨年末の段階で、NTTドコモの android タブレット 7インチ のラインアップには同じサムスンが販売するGALAXY Sがあり、たいへん好調な売れ行きを記録していた。しかし、フィーチャーフォンのメイン端末の置き換えではなく、2台目として、スマートフォンを持つことを考えた場合、より大きな画面のスマートフォンが欲しくなる。そこにうまくはまったのがGALAXY Tabだったわけだ。GALAXY Sよりは大きいが、画面サイズが7インチと大きいため、文字やグラフィックが見やすく、タッチ操作をミスすることも少ない。しかも同じ android スマートフォン
を採用しているため、アプリも基本的には同じように利用できる。
また、少しさかのぼれば、iPadも電子書籍向けというより、iPhoneと同様のアプリが利用できるWeb端末として、支持されてきた印象が強い。実際に、筆者はいつでもインターネットが利用できるように、リビングにネットブックを置いていたが、iPadの登場以降、ネットブックはまったく使わなくなり、リビング端末の主役はiPad、今年に入ってはiPad 2へと置き換わってしまった。何か知りたいと思ったとき、すぐに起動して、すぐに検索ができる手軽さは、とてもネットブックでは実現できなかった。
しかし、最近はiPad 2と組み合わせる形で、Android 3.0(現在は3.1へバージョンアップ)を搭載したMotorola XOOMを利用している。もちろん、仕事として、触っておきたいというのもあるが、iPad 2はFlashを使ったWebページなどが見られないため、そういったシチュエーションではXOOMが役立っている。Webページ閲覧時の軽快さはまだまだiPad 2の方が優れているが、Flashへの対応をはじめ、Android 3.xの環境だからこそ、使いやすい用途もあるため、今のところは併用が続いている。
もちろん、タブレット端末の用途として、Web端末がすべてだとは言わないが、やはり、Webページを快適に見られることが基本であり、そこにどういう付加価値があるのかがユーザーとしては大事になってくる。プラットフォームのバージョンは異なるが、シャープのメディアタブレット「GALAPAGOS」は、『Linuxベース』と謳っていたプラットフォームを8月11日に公開したバージョンアップにより、Android 2.3に置き換えている。明確にアナウンスされていないが、メディアタブレット「GALAPAGOS」は元々、Androidを採用しながら、専用端末として開発されたため、「Androidタブレット端末」と謳うことができずにいた。しかし、ユーザーの利用シーンを見ると、定期購読サービスで配信される新聞や雑誌などのコンテンツを読んだ次のアクションとして、Webページでニュースサイトなどを読みたいというのが自然な流れになる。そこで、無理に専用端末にこだわるのではなく、Androidタブレット端末として使えるようにして、その上で「TSUTAYA GALAPAGOS」というサービスを利用できるようにしたという考えのようだ。そして、その考えに基づき、新たに開発されたのがイー・モバイルで提供されるタブレット端末「GALAPAGOS(A01SH)」というわけだ。
タブレット端末を持ってもらうための工夫:
各社から発表されたタブレット端末については、もうひとつ特徴的なことがある。それは今のところ、3G搭載モデルよりもWi-Fiモデルが中心であるということだ。
GALAXY TabやOptimus Padなど、これまでに登場したタブレット端末の多くは、各携帯電話事業者との回線契約を伴う3G搭載モデルが中心だった。iPadも初代モデルは3G搭載モデルが売れ、Wi-Fiモデルの方が先に在庫が潤沢になるという状況だった。
確かに、いつでもどこでも使いたい、Webも見たい、電子書籍も購入したいなど、用途を拡大して考えると、3G搭載モデルが有効であることは間違いない。しかし、自宅やオフィスで利用するWeb閲覧などが主な用途であり、外出時にはときどき、持っていく程度ということを考えると、月々の利用料金の面で負担のある3G搭載モデルは、あまり有効とは言えない。筆者自身も当初、iPadは3G搭載モデルを購入したが、前述のように『リビングWeb端末』が主な用途になったため、Wi-Fiモデルに買い替え、iPad 2では最初からWi-Fiモデルを購入している。また、iPad 2発売日に家電量販店やアップルストアなどに出向いたところ、アップルストア銀座の行列は圧倒的にWi-Fiモデルが多く、3G搭載モデルは数人しか待っている人がいなかった。店舗によって、多少の違いはあるだろうが、現状では、やはり、月々の負担がないWi-Fiモデルの方が人気を得つつあり、今回の各社のタブレット端末の新製品は、そういった状況を踏まえたものという見方もできる。
こうした状況に対し、各携帯電話事業者も手をこまねいているわけではない。NTTドコモは6月から2台目以降にタブレット端末を購入したユーザーに対し、月々サポートの割引額を最大24カ月にわたって拡大する「月々サポートセット割」を提供している。たとえば、GALAXY Tabで新規契約をする場合、元々、月々サポートの金額が月額1722円に設定されているが、2台目として、GALAXY Tabを購入すると、さらに月額420円の月々サポートセット割の金額が加えられるため、24ヶ月間、使い続けると、5万円以上の割引が受けられる計算になり、端末そのものの実質負担額は0円~数千円程度に抑えることができる。同様のサービスはOptimus Padでも受けられ、こちらは月々サポートの額が2100円、月々サポートセット割の額が1050円に設定されているため、24カ月で7万5600円もの割引が受けられる。また、発売から時間が経ったことも関係するが、auではHTC EVO WiMAX ISW11HTの新規契約などに対し、Motorola XOOM Wi-Fi TBi11MやSAMSUNG SMT-i9100を格安で販売するケースも見受けられる。いずれも何とかして、ユーザーに月々の負担を感じさせないように、タブレット端末を売るべく、工夫をしているわけだ。
これに対し、自社の強みを活かした製品を投入してきたのが前述のイー・モバイルだ。シャープ製タブレット端末「GALAPAGOS(A01SH)」はWi-Fiモデルのみがラインアップされているが、イー・モバイルが強いモバイルWi-Fiルーターなどと組み合わせ、100円パソコンなどでおなじみのセット販売にすることで、活路を見いだそうとしている。シャープとしても回線契約を伴わないため、自社で単独販売をしたときの値崩れなどを心配する必要がない。
さらに、モバイルWi-Fiルーターについては、UQコミュニケーションズのWiMAX対応ルーター、NTTドコモのXi対応製品、auのWi-Fi Walker、ソフトバンクのULTRA SPEED対応Wi-Fiルーターなど、各社ともラインアップが充実してきており、通信事業者とは関わりのないメーカーのタブレット端末なども100円パソコンのときと同じように、組み合わせて販売しやすい状況が整っている。これに加え、スマートフォンでは通信事業者が限られるものの、NTTドコモが一部の機種でテザリングに対応し、auもHTC EVO WiMAX ISW11HTに続き、WiMAX対応スマートフォンのラインアップを拡充し、テザリング対応機種を増やそうという構えだ。10万スポットを目指すと謳うau Wi-Fi SPOTなど、公衆無線LANサービスも今まで以上に環境が整いつつある。
こうした状況を鑑みると、地域やユーザー層によって、若干の差があるものの、今後はWi-Fiのみに対応したタブレット端末も利用しやすくなりそうだ。3G搭載モデルについてはリモート制御などの機能が利用しやすいため、法人向けに重宝されそうだが、コンシューマー向けには2回線目のパケット定額料を半額にするなど、2台目として持ちやすくなるようなアグレッシブな施策を打ち出さない限り、ユーザーはWi-Fi搭載モデルに傾いていくことになるだろう。
タブレット端末については今夏に発表されたモデル以外に、秋冬以降に新モデルが各社から投入されることが明らかになっており、ますますラインアップが増えることになりそうだ。ただ、前述のように、現時点ではタブレット端末にWeb端末+α以上の使い道が見えてきたとは言いにくい状況であり、今まで以上に各事業者やメーカー、コンテンツプロバイダ、サービスプロバイダなどの知恵と工夫が求められることになりそうだ。
コメント